COPDの治療
慢性閉塞性肺疾患(COPD)について
慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)
とは、たばこ煙を主とする有害物質(その他、受動喫煙や大気汚染、職業的な塵埃、化学物質を含む)を長期間に渡り吸入することで、肺が炎症を起こした病気です。
その結果、肺胞が破壊され、息が吐けない苦しい所見(気流制限)を認めます。
さらに痰が増えるなど歩いたときの息切れがどんどん悪くなることが特徴です。
診断
COPDの診断は、スパイロメーターという器械を使った呼吸機能検査によって行います。
本検査で肺活量と、息を吐くときの空気の通りやすさを調べると、息が吐き出しにくくなっているため、1秒率(FEV1%)という検査値の値が70%未満のとき、COPDと診断されます。
また病気の進行に伴い、1秒量(FEV1.0)が、年齢、性別、体格が同じ日本人の標準的な値(予測値)よりも低くなっていきます。
進行具合の病期といわれるものは、予測1秒量に対する比率(対標準1秒量:%FEV1)に基づいて分類され、MRC息切れスケールという5段階の客観的評価があります。
さらに、呼吸機能に加えて、長期の喫煙歴などの危険因子、労作時の呼吸困難、慢性的なせきやたんなどからCOPDと最終的に総合的に診断されます。
呼吸困難の程度(MRC息切れスケール)
よくある症状
原因
喫煙が最も一般的な原因ですが、大気汚染や遺伝子など、他の要因も影響する場合があります。
診断
COPDの診断は、スパイロメーターという器械を使った呼吸機能検査によって行います。
本検査で肺活量と、息を吐くときの空気の通りやすさを調べると、息が吐き出しにくくなっているため、1秒率(FEV1%)という検査値の値が70%未満のとき、COPDと診断されます。
また病気の進行に伴い、1秒量(FEV1.0)が、年齢、性別、体格が同じ日本人の標準的な値(予測値)よりも低くなっていきます。
進行具合の病期といわれるものは、予測1秒量に対する比率(対標準1秒量:%FEV1)に基づいて分類されます。
さらに、呼吸機能に加えて、長期の喫煙歴などの危険因子、労作時の呼吸困難、慢性的なせきやたんなどからCOPDと最終的に総合的に診断されます。
治療
症状に応じて、薬物療法や運動療法などの総合的な治療(呼吸リハビリテーション)を継続的に実践します。
支持療法として、労作時低酸素・呼吸困難に対して在宅酸素療法が有効です。
また、2025年より生物学的製剤も適応となり、その効果が期待されます。
残念ながら一度破壊された肺を元に戻すことはできません。
しかし、早く病気を発見して治療を続ければ、症状を和らげたり、病気の進行を抑制することが可能です。
管理目標として、症状と生活の質(QOL)を改善、運動能力や身体能力の向上・維持、増悪の予防、全身併存症や肺合併症の予防、健康寿命の延長等が挙げられます。
注意点
生物学的製剤は、従来の薬に比べて高価です。高額医療制度などを活用することで、自己負担額を軽減することを推奨します。
副作用
注射部位の腫れや発赤などの副作用がまれにみられます。 また、アナフィラキシーといって、抗体製剤のアレルギー反応を引き起こす可能性もあるため、投与前に注意が必要です。
出典:COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版
生物学的製剤
デュピクセント® | |
---|---|
一般名 | デュピルマブ |
薬理機序 | 抗IL-4Rα抗体 |
投与方法 | 皮下注射 |
投与間隔 | 2~4週毎 |
合併症
様々な合併症がありますが、肺の合併症には、「肺がん」「肺炎」「気管支ぜん息」のほか、肺が線維化して硬くなる「肺線維症」や肺に穴があいて縮んでしまう「気胸」などがあります。
COPD患者の6〜18%に肺癌を合併し、COPDの死因の5〜38%が肺癌とされております。1)
COPDの合併は進行肺がんの予後不良因子ですが、COPD治療は合併した肺がんの予後を改善する可能性が示されております。2)
まずは「呼吸機能検査」で診断をし、肺がんを合併する場合は気管支拡張薬をはじめとした治療を、しっかり検討しましょう。
1) DD sin et al. Eur Respir J 2006;28:1245-57
2) H.Ajimizu et al. Sci Rep 2021;11:23677
一方、肺以外の全身併存症は体の多岐にわたります。
さまざまな臓器の「がん」や、「動脈硬化」「心筋梗塞」「脳卒中」といった脳・心臓血管系の病気が挙げられます。
食事量が低下すると、栄養障害からくる異常なやせ「るいそう」を来します。
更に、「フレイル」「サルコペニア」と呼ばれ、加齢に伴い筋力や心身の活力が低下し、生活機能全般が衰えた状態となります。
「骨粗鬆症」「椎体骨折」など、骨関する合併症も多く、生活の質(QOL)を大きく低下させることも少なくありません。
呼吸から、日常生活で不安が蓄積され、「うつ」になる方もいます。
消化性潰瘍、胃食道逆流症などの胃腸の病気もしばしば見られます。
予防可能な合併症も多いので、まずはかかりつけ医をもち、適切な加療をしましょう。