がんについて・がん検診のすすめ
人体は約37兆個の細胞からできています。
体を維持するため、毎日約3000億個の細胞がDNAをコピーして分裂をしています。
タバコ・放射線・紫外線など、外部からの刺激が加わると、細胞のDNA配列が壊れて遺伝子の機能が喪失、遺伝子のコピーミスから癌細胞が生まれます。
発癌の要因には、外界からあ与えられる外的要因と生体がもつ内的要因とがあり、その組み合わせにより癌が発生します。
https://chugai-pharm.jp/pr/npr/f1/material/illust/
現在、日本人の2人に1人は一生のうちに何らかのがんにかかるといわれています。
がんは、すべての人にとって身近な病気です。がんは、禁煙や食生活の見直し、運動不足の解消などによって、「なりにくくする(予防する)」ことができる病気です。
しかし、それらを心がけていても、がんに「ならないようにする」ことはできません。
厚生労働省「2023年の人口動態統計」によれば、にがんで死亡した人は、38万2504人(男性が22万1360人、女性が16万1144人)で、全死亡数の24.3%を占めており、1981年から連続して死因のトップになっています。
癌死亡数
2019年人口動態統計
部位別罹患率の年次推移
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん罹患モニタリング集計)
日本人のがんは、喫煙・ウイルス感染症が二大要因とされています。
喫煙は肺がんをはじめとし、多くのがんの原因となることが科学的に明らかにされています。
また、たばこは吸う本人だけでなく吸わない人にも健康被害を引き起こします。
たばこの煙の中には、5,000種類以上の有害化学物質が含まれており、これらの有害な物質は、肺のDNAを損傷しがんの原因となります。
がんを予防するためには、禁煙が最も効果的です。
現在たばこを吸っている人も、禁煙することによってがんになるリスクを下げることができます。
詳しくは「禁煙外来について」の情報をご覧ください。
他、科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドラインには、禁煙を含む6つの予防指針が示されており、日常的に実施可能ながん予防法と考えます。
日本人のがん:喫煙、癌関連感染症が二大要因
Inoue M, et al. Global Health & Medicine. 2022; 4(1):26-36. より改編
がん検診は、がんの種類によって異なりますが、一般的に1~2年に1回受けることが推奨されています。
具体的には、大腸がん検診と肺がん検診は1年に1回、乳がん検診と子宮頸がん検診は2年に1回受けることが推奨されています。
がん検診は、早期発見・早期治療のために非常に重要です。
早期発見のためには、検診を単発で受けるのではなく、定期的に受けることが重要です。
喫煙・飲酒などの生活習慣によってリスクが高い場合は、より頻繁に検査を受けることを推奨されます。
日本の一般のがん検診の受診率は、約40%とされています。
これは、がん対策推進基本計画における目標値(50%)を達成できていません。
男性では胃がん、肺がん、大腸がん検診の受診率が4~5割程度、女性では乳がん、子宮頸がん検診を含めた5つのがん検診の受診率は3~4割台となっています。
特に子宮頸がん、乳がんの受診率は低い状況です。
自治体主導によるがん検診の積極的な受診を推奨します。
当院の診療にて、悪性腫瘍が疑われる所見や病歴がある場合、連携医療機関、特に刈谷豊田総合病院との密な連携により、CT・MRI・エコー等による委託検査により、精査が可能です。
近年、マイクロRNAという分子が、がん早期発見・診断に有用な物質であると、着目されております。
2024年にノーベル生理学・医学賞を受賞した研究者らは、マイクロRNAがタンパク質を直接つくるのではなく、タンパク質の発現を調節することで、生物の成長に重要な役割を果たしていることを突き止めました。
Aloizou, A.-M. et al. Toxicol. Rep. 7, 1514–1530 (2020).
がんは、早期段階からマイクロRNAを放出していることが知られています。
これを利用し、マイクロRNAのパターンを分析することによってがんの早期発見につなげることが期待されます。
当院では尿検体のみで、死亡総数の約7割を占める7つのがんリスクをまとめて、がんの種類別にステージ1から検知するmiSignal検査を導入しております。
| 検診の種類 | 開始年 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
|---|---|---|---|---|
| 胃がん | 1982 | 問診・胃部X線または胃内視鏡 | 50歳以上 | 2年に1回 |
| 大腸がん | 1992 | 問診・便潜血検査 | 40歳以上 | 毎年 |
| 肺がん | 1987 | 問診・胸部X線または喀痰細胞診 | 40歳以上 | 毎年 |
| 子宮頸がん | 1982 | 問診・視診・子宮頸部細胞診・内診 | 20歳以上 | 2年に1回 |
| 乳がん | 1987 | 問診・乳房X線(マンモグラフィ) | 40歳以上 | 2年に1回 |
※2016.4.1から改正
胃がん検診:胃X線検査は当面の間、40歳以上、毎年でも差し支えない
乳がん検診:視触診は推奨しない
私は、長年、がん、特に肺がん治療に携わってきた身として、地域の皆様のがん検診率が上昇し、根治できるがんが一つでも多く見つかり、健康寿命が延びることを願ってやみません。
検診により、集団としてのがん死亡率低下、個人としての死亡リスク低下を目指しましょう。
是非、定期的・積極的な医療機関受診を推奨いたします。
(文責:がん治療認定医、総合内科専門医、呼吸器専門医 松井 彰)
